1. 不登校要因調査報告書
2. 調査の趣旨
文部科学省の令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(以下、問題行動等調査)」の結果によると、我が国における不登校は増加する一方です。またその主たる要因については、約半数が「無気力・不安」であるとされている一方、令和2年度に文部科学省が実施した不登校の児童生徒の実態把握に関する調査(文部科学省,2022)における児童生徒や保護者の回答による不登校の要因と乖離している可能性があります。
不登校状態にある児童生徒を支援する対策や不登校予防の対策にとって、その要因や実態を正確に把握することは不可欠であるため、この不登校要因調査では、以下の3点を目的として実施することにしました。
- 不登校の児童生徒に関する教師回答、本人回答、保護者回答の三者間比較を行い、回答の傾向を把握する。この際、三者で同様の調査項目を用いる。また不登校の児童生徒に対する教師回答や本人回答と、不登校でない児童生徒に対する教師回答や本人回答を比較し、その違いを把握する。すなわち、教師、または本人からみえる不登校の関連要因を明らかにする。
- 令和4年度問題行動等調査において、不登校の主たる要因が「無気力・不安」であると報告された児童生徒(以下、「無気力・不安」)の詳細を把握し実態をつかむ。
- 令和4年度問題行動等調査において、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていないと報告された児童生徒の実態等を把握する。また相談・指導の有無にかかわらず、不登校の児童生徒本人や保護者のニーズについて把握する。
なお、これらの結果は、不登校の予防や早期発見及び早期支援、不登校の児童生徒への支援に活かすと共に、問題行動等調査における「不登校の要因」の調査項目改善の資料となることを想定しています。
3. 調査対象期間
令和5年7月~令和5年8月
4. 調査の方法
教育委員会
吹田市(大阪府)、府中市(広島県)、延岡市(宮崎県)、山梨県
調査対象者
令和4年度に小学3年生から高校1年生であった児童生徒とその保護者(ただし、中学3年生を除く)、および担任教師等
5. 実施状況
今回の調査について、教育委員会ごとの実施数は以下の通りです。
教育委員会によっては、学校、教育委員会の判断により実施しなかった調査、十分な回収率を得られなかったものがあることに注意が必要です。
実施数 | 教師用調査 | 児童生徒調査 | 保護者調査 | ||||
調査A | 調査B | 調査A | 調査B | 調査A | 調査B | ||
吹田市 (大阪府) |
指定校 | 1,365 | 64 | 1,373 | 48 | 未実施 | 11 |
その他 | 未実施 | 522 | 未実施 | 48 | 未実施 | 62 | |
府中市(広島県) | 未実施 | 69 | 380 | 11 | 357 | 7 | |
延岡市(宮崎県) | 5,913 | 140 | 5,238 | 156 | 2,923 | 45 | |
山梨県 | 小中学校 | 11,785 | 559 | 7,796 | 356 | 6,498 | 203 |
高校 | 4,448 | 70 | 3,525 | 76 | 2,013 | 21 | |
合計 | 23,511 | 1,424 | 18,310 | 695 | 11,791 | 349 |
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参照文献
- 文部科学省.令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果, 2023
- 文部科学省.児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
- 文部科学省.誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策.COCOLOプラン(Comfortable, Customized and Optimized Locations of learning),2023
- 子どもみんなプロジェクト.
- 不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書(不登校児童生徒の実態把握に関する調査企画分析会議), 2022
謝辞
本調査研究を行うにあたり、協力してくださった山梨県教育委員会及び山梨県の関係教育委員会、宮崎県延岡市教育委員会、広島県府中市教育委員会、大阪府吹田市教育委員会の関係者、学校の先生方、児童生徒及び保護者の皆様、さらには本研究の運営や報告書の作成等に尽力いただいた、子どもの発達科学研究所スタッフ、浜松医科大学子どものこころの発達研究センタースタッフの皆様に感謝いたします。
研究グループ
研究代表者 | 和久田 学 | 公益社団法人 子どもの発達科学研究所 主席研究員 |
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解析担当 | 西村 倫子 | 公益社団法人 子どもの発達科学研究所 主任研究員 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター 特任講師 |
調査担当 | 大須賀 優子 | 公益社団法人 子どもの発達科学研究所 主任研究員 |
津久井 伸明 | 公益社団法人 子どもの発達科学研究所 副主任研究員 | |
研究協力者 | 谷池 雅子 | 大阪大学大学院連合小児発達学研究科 教授 |
片山 泰一 | 大阪大学大学院連合小児発達学研究科 教授 公益社団法人 子どもの発達科学研究所 代表理事 |
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千住 淳 | 浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター センター長・教授 | |
足立 匡基 | 明治学院大学心理学部 准教授 | |
高橋 芳雄 | 東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 講師 |
各研究者からのメッセージページ:不登校要因調査研究者からのメッセージ
6. 報告会のお知らせ
- 開催日時:2024年5月18日(土) 13:00~16:10(後日録画配信あり)
- 開催方法:オンライン(Zoomウェビナー)
- 参加費:無料
- 定員:リアルタイム参加+録画視聴 500名 / 録画のみ 250名(先着登録順、要事前申込)
- 申込締切:5月17日(金)12:00(締切に関わらす定員に達し次第受付終了となります。)
- 詳細・お申し込みページ(Peatix)