学校外からのアプローチによる
いじめ解消の仕組みづくりに向けた
手法の開発・実証事業について

子ども家庭庁 子どもの発達研究所

本事業はこども家庭庁から委託を受けて
子どもの発達科学研究所が実施しています

事業概要About

いじめ問題に打ち勝つための新たなアプローチ。地域の取り組みが、安全で支えのある未来を築く。

文部科学省の2023年の調査によれば、いじめの認知件数は約68万件、重大な被害が生じた疑いがある件数は約900件と過去最多です。
「こどもまんなか」社会の実現を目指すこども家庭庁が、いじめ防止対策の強化に取り組み、地域からいじめ防止を行う体制づくりを進めます。
本事業では2023年度から引き続き、こども家庭庁の公募に採択された実証地域(各自治体)が、首長部局を中心に、地域の実情に合わせながら、学校、福祉、医療等の関係機関や地域の方々と連携し、いじめ解消の仕組みを開発・実証します。

実証地域は、自治体の首長部局による、いじめの相談から解決まで取り組む手法等の開発を目指して、本事業の実施にあたります。学校でのアプローチとは別の選択肢を示すことにより、地域のいじめ防止の実現を図ります。
また、弊所、子どもの発達科学研究所は、こども家庭庁との連携の上、法的枠組みや科学的根拠に基づき、実証地域における取り組みへの専門的助言や効果検証の支援、研修プログラムやコンテンツの作成などを行います。
こうした取り組みを通じて、学校と地域が協力していじめの長期化や重大化を防ぐ体制を築くことを目指し、子どもたちの安心・安全と健やかな発達の支援に貢献します。

実施団体Demonstration group

本事業に参加する自治体

2024年度は12の自治体が子どもの発達科学研究所とともに、いじめ解消に向けた汎用化モデルの構築を目指します。

動画Movie

いじめ問題への対応

いじめ問題は、子どもの生命、心身の健康に深刻な影響を与えます。被害者だけでなく、加害者や傍観者についても、また、発生時だけではなく将来にわたって、強く負の影響を及ぼすことが明らかになっています。いじめ問題は、私たちの社会が解決しなければいけない大きな課題です。
子どもの健やかな発達を守るために、私たち大人がすべきことは何でしょうか。それは、いじめの法律上の定義を理解し、具体的な正しい行動をとることです。
心理的、物理的影響を与える行為があり、心身の苦痛を与える行為はいじめです。この定義の基づき、いじめを見逃さず子どもを守る行動をしましょう。そして、良い行動のモデルを大人が提供しましょう。正しいいじめへの対応行動を知り、子どもに教え、自ら実践しましょう。そして、いじめから子どもを守るために学び続けましょう。
社会全体でいじめ防止の取り組みを広めていくために、あなたの理解と行動が必要です。

支援内容Support

研究所が推進する「学校外からのアプローチでいじめ解消」に関する事業(こども家庭庁から受託)をご紹介します。
2023年度から始まったこども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」では、地域におけるいじめ防止対策の体制構築を目的としています。 子どもの発達科学研究所は、本事業において、各自治体の首長部局に対し、さまざまな伴走支援に取り組んでいます。

実証地域(地方公共団体の首長部局)への専門的助言・支援

エビデンスや法律に基づくアドバイス、アイデアを提供します。
子どもの発達に関する学校ベースの大規模調査研究、教師や専門職員向けの研修プログラムの提供などの、子どもの発達科学研究所のこれまでのノウハウを生かし、各自治体に対し、下記の1~4を実施します。

1. 実証団体への専門的助言・支援

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いじめ相談支援の質の向上とシステム構築のため、以下の内容を提供します。

  • いじめ相談支援の進め方(相談フロー)
  • いじめ相談の際の子どもの安全確保の必要性の判断(緊急度等チェックシート)
  • いじめが起きにくい環境のチェックリスト
  • いじめ相談支援事業の効果検証項目 等

2023年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市)に提供済み。

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市、盛岡市、品川区、新潟市、湖西市)に提供済み。

2. いじめ専門相談員の養成・認定

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「いじめ専門相談員」を養成・育成し認定します。
教育、心理、福祉、ソーシャルワーク等の専門性に加え、いじめに関連する法律や基本方針、ガイドラインや、国内外のいじめに関する先行研究の知見に基づいた知識とスキルを身に着けることができます。

2023年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市)に提供済み。

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市、盛岡市、品川区、新潟市、湖西市)に提供済み。

<本講座の内容>

いじめ専門相談員養成講座
(年間3~4回)
研修動画のレクチャーDay1事前動画、Day2事前動画
相談支援のグループ演習Day1、Day2の計2回
事例検討フォローアップ実際の事例を用いた検討会 1回
(年間3~4回)いじめ専門相談員認定試験
(年間3回)アップデート研修会(事例検討会)いじめ専門相談員養成講座修了者が対象

3. いじめ予防啓発のためのイベント・講座の提供

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いじめが起きにくい地域を作るためのイベント・講座パッケージ等を提供します。
地域におけるいじめ予防啓発事業を行うために、次に2つのパッケージとチラシ・ポスターデータを提供しています。

①いじめ予防啓発出前講座

地域におけるいじめ防止啓発イベントなどで活用が可能な講座。本講座を用い、クイズ形式でいじめ防止のための基本的知識を楽しく学ぶイベントが開催できます。対象は、地域の一般の方々。

<講座の内容>
  • いじめの定義
  • いじめが子どもに及ぼす負の影響
  • いじめに対して大人としてすべきこと等
<講座実施のための付属ツール>
  • イベント開催のための解説動画やマニュアル
  • 当日にそのまま使うことができる動画やスライド、ワークシート
  • 効果検証のためのアンケートなど

2023年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加する自治体(旭川市)で実施。

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加する自治体(旭川市、品川区、湖西市)で実施中もしくは計画中。

②地域いじめ防止リーダー養成講座

地域でいじめ防止を推進する地域いじめ防止リーダーを養成するための講座。
いじめを未然に防ぐ、またいじめの芽を早期に見出し正しく対応することを目指します。

<講座の内容>※半日程度で履修
  • いじめの定義
  • いじめが子どもに及ぼす負の影響
  • いじめに対して大人としてすべきこと等
  • いじめに関する法律やガイドライン
  • 先行研究に基づく正しい知識 等

地域でいじめ防止を推進する方々(例えば、こども食堂、スポーツ少年団、子供会、民生委員、交通指導員、放課後児童会等でこども支援にかかわる方々、いじめ防止に意欲を持つ事業者等)を対象に実施。
本講座を受講するには、「いじめ専門相談員養成講座」を終了し、資格を得たいじめ専門相談員であることが条件となります。

<講座に付帯する提供ツール>
  • 講座開催のための解説動画やマニュアル
  • 当日使用する研修動画8本
  • スライドやワークシート
  • 効果検証のためのアンケート 等

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加する自治体(旭川市、品川区、湖西市)で実施中もしくは計画中。

③いじめ予防啓発のチラシやポスター

いじめの定義、いじめ被害や目撃の際に子どもがとるべき行動、いじめに対して大人としてすべきこと等、学校や地域で、いじめ予防をわかりやすくアピールするチラシやポスターをデータで提供します。

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加する自治体(伊勢市)へ提供。

4. 各自治体の事業効果の検証

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子どもの発達科学研究所では、これまで行ってきた調査研究の知見を活かし、各自治体の事業の効果検証についてのサポートやアドバイスを行っています。
いじめ相談支援事業の効果検証では、いじめ事案の解消率や相談者のメンタルヘルスの改善等の測定方法を提供しています。
いじめ予防の啓発においては、イベントの参加者の知識や行動の変容を捉える効果検証項目を提供しています。
またいじめ専門相談員養成講座については、その受講の前後での知識量や行動の変化を検証します。
各自治体の行う事業の効果とともに、本事業全体の効果検証も進めていきます。

2023年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市)に提供済み。

2024年度こども家庭庁「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業」に参加するすべての自治体(旭川市、熊本市、堺市、八尾市、伊勢市、福岡県、松戸市、箕面市、盛岡市、品川区、新潟市、湖西市)に提供済み。

各種調査ツール

こころの健康観察NiCoLi

定期的に子どものメンタルヘルス調査を行うためのツールです。子どもたちの心の状態を詳細にモニタリングでき、リスクの高い場合には二次スクリーニングを行い、介入方法を選択、実行することが可能です。

2023年度 大阪府吹田市立全小中学校 他、多数自治体・学校が採用。

2024年度 東京都品川区立全小中学校、大阪府吹田市立全小中学校 他、多数自治体・学校が採用。

詳しく見る

こころとからだの連絡帳 デイケン

日々の子どもたちの心と身体の状態を把握し、不調時に初期介入、不調の予測が可能です。また、相談ボタンにより、子どもたちとのコミュニケーションを深めることができます。

2023年度 大阪府吹田市立全小中学校 他、多数自治体・学校が採用。

2024年度 東京都品川区立全小中学校、大阪府吹田市立全小中学校 他、多数自治体・学校が採用。

詳しく見る

子どものための学校風土調査

不登校対策、いじめ予防のために重要な学校の状態を、子どもたちの視点から明らかにする調査ツールです。
学校が、学年が、学級が、どのような点を改善すべきかを明確化し、学校風土向上を目指すことが可能です。

2023年度 大阪府吹田市、静岡県静岡市 他、多数自治体・学校が採用。

2024年度 東京都品川区立全小中学校、静岡県湖西市、大阪府吹田市、 他、多数自治体・学校が採用。

詳しく見る

いじめDアンケート

学校ベースでいじめ被害や目撃を子どもたちの回答から把握し、学校や教育委員会が即時に把握することができる「いじめDアンケート」。
紙のため散逸するデータを保全し、解消までの管理を効率的に実行できます。

2024年度 東京都品川区立全小中学校、静岡県湖西市で実施中もしくは計画中。

お問い合わせ

いじめ防止に関する講演・研修

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世界の先行研究や、子どもの発達科学研究所が行ってきたいじめに関する調査研究で明らかになったこと、また国の法律・ガイドライン等に基づき、いじめから子どもたちを守るために必要なことについて、子どもの発達科学研究所の研究員が提言します。

2023年度・2024年度提供実績(2022年度までも多数)
群馬大学医学部附属病院、浜松市立佐鳴台小学校、青翔開智中学校・高等学校、長崎県私立中学高等学校協会、聖隷クリストファー大学、知多授業研究会、品川区教育委員会、八幡浜市教育委員会、芦屋市教育委員会、大阪府立だいせん聴覚高等特別支援学校

いじめ予防プログラム「トリプルチェンジ」

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学校ベースで取り組む、いじめ予防プログラムのパッケージ。

学校の教員向けの年間研修プログラム(動画と演習)、いじめ予防授業(3回)を実施するためのツール(動画、ワークブック)等をまとめて提供します。効果検証のための「いじめDアンケート」、「学校風土調査」等の調査ツールとの併用が効果的です。

2024年度より、東京都品川区立全小中学校、全学年に導入。
2020年より、大阪府吹田市立全小中学校、全学年で実施中。NHKスペシャルで放映。

実績に関しては、本事業に関連のない実績も一部含まれていることをご了承ください。

公益社団法人 子どもの発達科学研究所ロゴ

公益社団法人 子どもの発達科学研究所は、子育て、発達障害、いじめ予防、就労支援等に関し、
科学的根拠に基づくプログラムの研究開発と提供を行う社会実装団体です。