概要・沿革
研究と社会実装を両輪とし、科学的根拠に基づいたプログラムを提供しています。
子どもの発達科学研究所は、元々は大阪大学、金沢大学、浜松医科大学、千葉大学、福井大学の5大学からなる「子どものこころの発達研究センター」連携のもと、研究を社会へ繋げるための研究所として2010年1月に設立されました。2013年9月に、一般社団法人から公益社団法人に移行。現在は、研究所自ら「発達」に関する幅広い研究と、科学的根拠に基づいたプログラムの提供を行っています。
例えば、学校支援においては、いじめ、不登校、学校風土の調査・分析と介入支援、教育プログラムにおいては、自治体、学校現場、保護者向けに子どもの発達に関するコンテンツの提供、そして研究成果を活かしたコンサルティングや省庁や企業からの依頼を受けた研究・開発などに取り組んでいます。
沿革
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2010年1月
一般社団法人子どもの発達科学研究所設立
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2012年4月
浜松オフィス開設
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2013年2月
「学校安全調査」(現 学校風土調査)の提供を開始
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2013年2月
「いじめ予防プログラム」(現 トリプルチェンジ)の提供を開始
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2013年9月
公益社団法人へ移行
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2014年7月
「こころの発達アテンダント」講座を開講
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2015年4月
「教師のための科学研究講座」(現 教育に科学を!科学研究講座)を開講
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2017年5月
「学びの発達アテンダント」講座を開講
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2020年7月
こころの健康観察「NiCoLi」の提供を開始
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2022年9月
ここととからだの連絡帳「デイケン」の提供を開始
実績
特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業:文部科学省初等中等教育局 | 小中学校の通常学級に在籍する子どもたちの発達支援に関するニーズ調査を行った教職員を対象に、子どもの発達に関する科学的に正確な知識と実践に使える具体的な支援内容を研修動画で提供。 |
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いじめ対策等生徒指導推進事業:文部科学省初等中等教育局 | 不登校やいじめ等、子どもの問題をこころの発達の科学的視点から解決する事業で、義務教育課程における情動行動の実態と教育的介入に関する研究を展開する。 子どもの情動発達測定と、基礎的理論や知識、最新の研究結果から導き出された科学的根拠のある各種教育プログラムを開発する。 |
発達障がいに関する教職員等の理解啓発・専門性向上事業:文部科学省特別支援教育課 | 教職員の特別支援教育の知識及び技能の向上を図り、科学的根拠に基づいた特別支援教育を学校全体として推進するため、教職員研修とその効果の測定を繰り返し行い、包括的システムモデルを構築。 |
発達障がいの可能性のある児童生徒等に対する支援事業:文部科学省 | 小学生570人とその保護者に対し日本学校風土尺度の測定を行い、その解析結果を基準にして特別支援教育の視点を踏まえた学校経営計画等を策定。効果的な校内支援体制を整備。 |
こころの健康観察事業業務委託 浜松市教育委員会 | 新型コロナウイルス感染症拡大防止による長期間の臨時休校が与えた児童生徒のメンタルヘルスへの影響を明らかにし、適切に支援することにより、不登校、ネット依存、いじめ等を未然防止すめため、web アンケート調査を実施。 |
いじめ予防推進委託業務:吹田市教育委員会 | 「学校風土いじめ調査 web 版」を全小中学校で実施 いじめの起こりにくい学校風土を構築し、いじめの未然防止及び早期解決を図るため、教職員へのいじめに対する専門知識等の習得を目指す研修を行うと共に、各校で「いじめ予防授業」を行うための研修を実施。 |
特別支援教育の視点を踏まえた学校経営構築研究開発事業:浜松市教育委員会 | 子どもの問題行動や低学力の実態を把握すると共に、支援方法の根拠となる背景との関連を探るため、モデル校を選定し約1,300人の児童とその保護者さらに教職員へ調査を実施。 |
発達支援教育の視点を踏まえた学校経営構築推進事業:浜松市教育委員会 | 市内のモデル校7校へ、発達に課題のある子供たちが関わるいじめや問題行動をなくす学校風土の作り方について研修を行い、授業を見学し、個別案件についてアドバイス。 |
発達障がい地域啓発業務:湖西市教育委員会学校教育課 | 発達障がい者が安心して地域で生活できるように、乳幼児期から各ライフステージに応じた一貫した支援体制を整備し、社会全体で発達障がいを支える仕組みを確立する。小学校・中学校の教育向け研修プログラム。 |
発達障がい地域啓発業務:館林市社会福祉課障がい福祉係 | 発達障がい者が、安心して地域で生活できるように、乳幼児期から各ライフステージに応じた一貫した支援体制を整備し、社会全体で発達障がい者を支える仕組みを確立する。保育士や保健師、小中学校や幼稚園の教員、福祉事業所や児童館等支援者への研修プログラム。 |
不登校対策調査研究事業:磐田市教育委員会 | 不登校児童生徒の実態調査を通して、不登校児童生徒の対応及び未然防止策の支援。日本学校風土尺度調査と分析・報告。不登校防止の研究と、その成果の学校現場への還元。 |
特別支援教育コーディネータ スキルアップ研修業務:西宮市こども未来センター | 学校現場における発達支援の指導的立場となる教員の育成。講義や研修プログラム、演習、巡回相談など。 |
かおTVオペレーター派遣事業:西宮市、泉大津市、河南町、太子町 | 各自治体での乳幼児一歳半健診に出向き、かおTVオペレーターとして、乳幼児の発達に関する社会性の気づきについて、保育士と共に保護者に伝える。 |
事業概要
1. 自閉症・発達障がいの早期発見と子育て支援
私たちは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障がいの早期発見と、全ての子どもの子育て支援のために、学校支援、ラーニング、研究・開発、コンサルティングの各事業を展開しています。
例えば、いじめ、不登校、学校風土などの学校支援において、発達障がい児支援は欠かせません。またニューロダイバーシティ時代の今、発達障がいの子どもだけを取り出すのではなく、全体の中で支援を充実させることが重要であると考えます。
ラーニング事業では、発達障がい、その早期発見と子育て支援をテーマにしています。保護者の皆様にも気軽に参加していただくことができる、質の高いコンテンツを提供しています。
研究・開発では、発達障がい、その早期発見と支援は一つの重要なテーマになっており、既に「かおTV(視線検出により社会性の発達について知る装置)」を中心にした研究や実践など、具体的成果に結びついています。
さらには子育て支援団体や自治体、民間企業へのコンサルティングにおいて、自閉スペクトラム症の理解、科学的根拠に基づいた支援プログラムの開発や提供を行っています。
2. こころの成長の正しい理解・啓発のための広報活動
私たちは、こころの成長の正しい理解・啓発のために、ホームページやSNSを中心にした情報発信、啓発を目的とした講座の開催などを行っています。
私たちの研究所の目的を達成させるためには、社会の理解が欠かせません。多くの情報が簡単に手に入る今だからこそ、研究所は科学的に正しい情報の発信を中心に、様々な広報活動に取り組むことが重要だと考えています。
3. 発達障がいのある子どもたちの発達支援・教育と就労支援に関する調査研究
私たちは、研究・開発事業の中心に、「発達障がいのある子どもたちの発達支援・教育と就労支援に関する調査研究」をおいています。また、そこで得られた成果をプログラム化し、学校支援、ラーニング、コンサルティングの各事業に展開しています。
もちろん、今の時代、発達障がいでなくても、誰もが発達特性があり、そうした多様性を受け入れられる社会が必要とされています。そのことから、私たちは、発達障がいを中心としつつも、全ての子どもたち、全てのヒトの健全な発達と明るい未来を目指して、研究活動を行うこととしています。
4. 子どものこころの成長を支援研究する研究者の育成支援
私たちは、各種事業を通じて、国内外の研究者、実践者とのネットワークを作っています。特に国内の各地で活躍されている専門家、実践家の方々には、ラーニング、コンサルティングの事業を通して、最先端の知識、スキルの提供を行っています。
またプロジェクトによっては、研究生、研究助手を募集し実践的な学びを提供したり、大学との連携の中、研究データの提供、共同研究などを行ったりしています。
5. 社会活動・普及の窓口等への支援
私たち研究所の関連団体として、科学的根拠のある幼児教育プログラムとして有名なHighScopeを日本に導入するための団体である一般社団法人HSJ、日本においていじめ対策を扱う唯一の学会である子どもいじめ防止学会など、社会課題を解決するために必要な諸団体に対し、多面的な支援を行っています。
さらには、文部科学省、こども家庭庁との連携、各自治体、教育委員会、学校との連携に加え、地域における子育て支援に携わっているNPO諸団体、子育てサークル等に対して、様々なイベント、研究を通した支援を行っています。